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札幌すすきののオーセンティックバー、BARやまざきへようこそ。

電話でのご予約・お問い合わせはTEL.011-221-7363

午後6時−深夜0時30分 日曜定休

〒060-0063 札幌市中央区南3条西3丁目 克美ビル4階

スタッフ紹介 staff profile

スタッフ紹介

Tatsurou Yamazaki 山崎 達郎

BARやまざき店主、山崎達郎。国内最高齢のバーテンダーとして長年活躍してきました。
すすきのを見守り続けて五十余年、「お客様を喜ばせることの楽しみ。それが私のバーテンダーとしての原動力です」
と語る言葉そのままに、カウンターに立ち続けてきました。

インタビュー

バーテンダーとして大切なこと


― 早速ですが、バーテンダーとして大切なことはどんなことだと思われますか

 何より、来たお客さんに満足して帰っていただくことが一番です。そのために、バーテンダーはお客さんに恥をかかせないように気を配らなければいけません。お客さんのためならバーテンダーが恥を引き受ける気構えが大切です。

― では、店の他のスタッフと接する時、「バーテンダーの先輩」として心がけておられることはありますか

  スタッフに自信を持って業務をしてもらえるようにするのが店主の役目だと思っています。「教育を疎かにしている」と言われるかもしれませんが、わたしはスタッフを叱ることがほとんどありません。わたしがやっていることでいいと思えることがあればそれを真似てくれたらいいし、そう思わないならしなくてもいい。
  お客さんに居心地の悪さを感じさせないようスタッフを指導しなければならない場合ももちろんありますが、それでスタッフを委縮させてしまってはいけません。

― 自分の背中を見て学んで欲しい、ということですね

  教科書や言葉で学べることには限界があります。カクテルをレシピ通りに作るだけなら、2,3か月くらいしっかり特訓すれば誰でもできるようになる。でも、カクテルを作ることだけがバーテンダーの仕事ではありません。お客さんとの接し方、距離感といったものは学校では教えてくれませんから、先輩バーテンダーやお客さんから学ばせていただくことが大事ですね。

バーテンダーをやっていて良かったと思えること


― 「バーテンダーをやっていて良かった」と思えたような、印象深い出来事は何かありますか

 何か特定の人とか出来事が特に印象深い、ということはないかもしれません。むしろ、やってきてくださるお客さん一人一人、カウンターに立つ一日一日が感動の連続という思いでおります。
 たとえば、北海道に新婚旅行でやってきて店に寄ってくださったご夫婦が、「この店に来ることを旅行で一番楽しみにしていたんです」と言ってくださったこと。大学生のお客さんが自分の親御さんと一緒に来てくださり、切り絵を作ってあげたら大層喜んでくれて、後日「いい親孝行ができました」と感謝してくれたこと。一つ一つは大きな出来事ではないかもしれません。それでもやまざきをお客さんの中で思い出の一つにしていただけるなら、それがわたしにとっては何より嬉しい、バーテンダーでいて良かったと思える瞬間です。

― 特別な出来事があるというよりも、日々の何気ないお客さんとの関わりが、山崎さんにとっての喜びということですね

 そうですね。あとは、やはり自分が作ったカクテルをおいしいと言っていただけるのは嬉しいものです。
 時折、女性のお客さんから「自分のイメージでカクテルを作って欲しい」と頼まれることがあります。昔からたくさんのバーテンダーを悩ませてきた注文ですが、甘口辛口の好みや普段どんなものを飲むかを尋ねたり、身の回り品や服装などを観察したりして自分なりの着想を得て作っています。こうして作られた、注文された女性の名前を冠したカクテルは、レシピが残っているものだけで60種を越えます。もっとも、初見のお客さんにいきなり頼まれたりするとバーテンダーも困ってしまいますが、それでも「まさに自分にぴったりのカクテルです」と言ってもらえると、バーテンダー冥利に尽きるというものです。

やまざきが長く愛されてきた理由


― 2013年で創業55周年を迎えるBARやまざきですが、これほど長くこの店が続いてきた理由はどんなところにあるのでしょうか

 単純に、わたし自身が健康に恵まれてここまで生きてこられたから、と答えれば簡単ですが、どうでしょうか(笑)。
 お店を続けていく上で意識してきたことがあるとすれば、一人の人からたくさん儲けすぎないということがあるかもしれません。たくさんの人から少しずつ儲けさせていただくこと、これがわたしの信条です。お酒の中には確かに高価なものもありますが、そうしたお酒を酔いに任せて何度も注文することはお勧めしませんし、バーテンダーがお客さんの飲み方を見守らなくてはなりません。
 言うまでもなくアルコールというのは飲みすぎると体にはよくないものです。来ていただいたお客さんにはまたお元気に店に足を運んでいただきたいと願っていますので、体に障らない量を楽しく飲んでいただけるようにしっかりと見届けたいと思っています。

「山崎達郎」「BARやまざき」のあり方


― 今や国内最高齢の現役バーテンダーとして、すすきののみならず全国に知られる存在となった山崎さん、そしてBARやまざきですが、これからバー業界の中で、そしてすすきので、ご自身やお店として果たしていくべき役割、立ち位置というものについてお考えになることはありますか

 そこまで強く意識したことはありませんね。むしろ、あまり考えないようにしていると言っていいかもしれません。
 もし自分ややまざきのことをなにか一角のもの、重んじられるものと考えるようになってしまえば、要らない堅苦しさを店の中に持ち込んでしまうかもしれません。風格や品位は確かに大切なものですが、そのせいでお店に来た客に肩のこるような思いをさせてしまっては本末転倒です。敷居を高くせず、ただ店に来たお客さんが楽しんで満足して帰ってもらえるのなら、それ以上の店の役割について考えることはありません。

― 一店のバーとして、来てくださったお客さんの期待にしっかりと応えていくということですね。

 そういうことです。
 もっとも…これは少し自慢になってしまうかもしれませんが、バーテンダーとして以外の場でのものも含め、わたしのこれまでの活動を評価していただけることは光栄なことですし、そのことがお客さんが店に足を運んでくださるきっかけの一つになっているのならばそれは嬉しいことです。
 最近は店に出ている時間も長くありませんし、年齢のこともありますので、昔のようにスムーズにカクテルを作ることは簡単ではありません。それでも、先にも言ったようにお酒を作ることだけがバーテンダーの仕事ではありません。お客さんに喜んでもらえることであれば何でもして差し上げたいという、昔と変わらない矜持でこれからもお客さんのお相手をさせていただきたいと思っています。

バーテンダーになっていなかったら


― もし山崎さんがバーテンダーになっていなかったとしたら、どんな職業に就いていたと思いますか

 小さい頃はこれになりたい、というような明確な夢はありませんでしたが、子供時代から科学的なことに興味を持っていたので、理系の仕事が合っていそうだとは漠然と考えていました。
 召集を受けて軍役に就いていたときは衛生兵で、医学の道に興味を持つきっかけになりました。両親も兄弟も叔父も結核で命を落としていたことも、医者になって病気で苦しむ人たちを助けたいという願いを強めるものになっていたと思います。上官の勧めもあり、満州の医科大学に進もうと考えていた矢先に終戦を迎え、そこで医学を学ぶ道は潰えてしまいました。 もしそのタイミングで終戦になっていなければ、わたしは医者になっていたことでしょう。

― 山崎さんは絵がお好きだということで、今でも作品を展覧会に出展されるなど精力的に取り組んでおられるようですが、画家になるという道を考えてはいなかったのでしょうか

 確かに子供の頃から絵は好きでしたね。終戦後、駐留軍の将校クラブのバーテンダーとして働き始めましたが、少し時間に余裕ができた時、並行して美術学校へ通って本格的に絵を学んだこともあります。卒業時には一流画壇のコンクールに入選したりして自分なりの手応えを感じてはいましたが、それでも絵描きで生計を立てていくことの難しさもまた理解していました。
 仕事を探しに職業安定所に行くと「これだけの経歴があるならバーテンダー以外になる手はない」と言われてそれ以外の職を紹介してくれないというような出来事もあり、経験を重ねていくうちにバーテンダーとしてやっていこうという思いを次第に固めていったのだと思います。

― 当時の環境もまた、山崎さんをバーテンダーの道を進むよう促すものになっていた訳ですね。山崎さんの中では、バーテンダーという職業に「自分はこの仕事を続けていける」と思わせるものを何か感じていたのでしょうか

 自分がお酒の世界でここまでやってこられたのは、カクテルを作るというこの仕事だったからこそのように思えます。カクテルを作る時に働かせる想像力は、絵を描く時にかき立てるそれとよく似ています。絵を学び、実際に筆を取ってカンバスと向かい合ってきた経験がカクテルの創作に活かされていると思いますし、逆に、カクテルを作る感覚が絵を描くことに活かされているということもまたあるように感じますね。

バーでの「格好よさ」とは


― 今度は逆に客としての目線からお聞きしてみたいのですが、多くの人にとってバーというとスマートでスタイリッシュなイメージがあると思います。誰もが「バーという場所では格好よくありたい」と少なからず考えていると思うのですが、山アさんが考える「バーの客としての格好よさ」とはどんなものでしょうか

 個人的には、何か特別なスタイルとか仕草が格好いい、ということはないですね。知ったかぶりをしたり慣れていない作法を真似たりしても、大抵バーテンダーや他の客には分かってしまうものです。バーは基本的にお酒を飲む場所ですから、当然そこにいるお客さんは普段より理性を働かせにくい状態になっていることが多いわけですが、その中であっても秩序を乱さない、場の空気を尊重できる人が、バーテンダーからしても他のお客さんからしても、どんな時にも素敵に見えるものではないでしょうか。

長所と短所


― 最後にありふれた質問なのですが、山崎さん自身が考えるご自分の長所と短所を教えてください。

 これは長所であり同時に短所でもあると思うのですが、相手の身になって考える、時には考えすぎてしまうということがあると思います。相手の立場でものを考えられるということは本来褒められるべきことなのですが、それが過ぎるといわゆる「お人よし」になってしまいます。そのことは分かっているつもりなのですが、誰かに頼られたり困っている人を見たりすると、つい世話を焼いてしまうということが少なくありません。

― それでも、相手と同じ考え方・感じ方ができる、人の痛みを理解して親身になってあげられる山崎さんの存在が、BARやまざきが長く愛されてきた大きな理由の一つと言えそうですね

略歴

陸軍病院時代

旧店舗内の様子

独立した教え子たちと

南5条西4丁目に
あった旧店舗

雑誌の表紙より

1920年 東京都小石川に生まれる
1941年 太平洋戦争開戦、陸軍衛生兵として応召
1946年 東京衛生技術者養成所高等科修了
東京會舘にてバーテンダーとして勤務
三井倶楽部各種ほか、各将校クラブのバーテンダーを務める
1949年 文化学院美術科卒業
1951年 東京芸大(聴講生)人体美学色彩学終業
1952年 横浜市グルメグリルエアンドレー入社
1953年 来札、「舶来居酒屋モンタナ」にてチーフバーテンダーを務める
北海道バーテンダー倶楽部結成 研究部長に就任
1955年 全日本バーテンダー協会北海道本部会長就任
1958年 BARやまざき開店
1960年 国際バーテンダー協会パリ大会に日本代表として出席
イタリアバーテンダー協会名誉会員
英国バーテンダー協会海外会員に推薦される
1962年 国際バーテンダー協会ハンブルク大会に日本代表として出席
北海道全調理師会常務理事就任
1964年 比差子夫人と結婚
北全調理事長表彰
1965年 全日本バーテンダー協会特別功労賞
1968年 日本料飲祭功労賞
1971年 北海道社会貢献賞
1972年 オリンピック組織委員会より感謝状
1973年 札幌市より調理師法施行30周年記念表彰
1975年 全日本バーテンダー協会全国コンクール優勝
1975年 旧店舗が火災により全焼
1976年 現在地にて新装開店
国際バーテンダー協会コンクール・ミラノ大会において準優勝
厚生大臣賞受賞
1977年 北海道全調理師会専務理事就任
1981年 自民党組裁感謝状
1983年 北海道全調理師会副理事長就任
1987年 自民党組裁感謝状
日本バーテンダー協会北海道地区本部名誉会長就任、のち常任顧問に
1989年 調理師法施行30周年記念表彰
1990年 日本バーテンダー協会創立60周年記念会長表彰
1993年 北海道全調理師会相談役就任
第六等単光旭日章受章
2000年 「すすきのバーテンダー物語」出版
2008年 BARやまざき50周年記念行事開催
2009年 「BARやまざき」出版
2010年 日本バーテンダー協会最高賞「ミスター・バーテンダー」を受賞
2016年 11月 逝去 [ご挨拶]

Yusuke Aiso 相蘇 裕介

出身: 北海道札幌市
略歴: 札幌市立福井野小学校卒業
札幌市立福井野中学校卒業
札幌山の手高等学校卒業
宮島学園北海道調理師専門学校卒業

インタビュー

バーテンダーを志したきっかけは?

映画「カクテル」(1988年・アメリカ)がきっかけでした。その中で出てくるのはフレアバーテンダーでしたが、バーの世界に興味を持つきっかけにはなりましたね。
バーについて調べていくうち、山崎達郎という人物に行き当たり、そのバーテンダーとしての生きざまに強く惹かれるようになりました。同じ北海道ということもあり、BARやまざきで働くことを念頭に置いてマスターが講師をしていた専門学校に入校しました。
他の講師が「今、やまざきでスタッフを募集しているようだよ」と教えてくれた時、すぐさま講師室に駆けつけ、マスターに「よろしくお願いします」と頭を下げたのを覚えています。

バーテンダーとしてお店にいて心がけていることは何ですか?

「お客様が楽しんでいただける空間づくり」を大切にしています。
「バーで楽しむ」と一口に言っても、楽しみ方は様々です。一人で静かに飲みたい方、友人とじっくりと語らいたい方、店の常連として接して欲しいと思う方、スタッフとの近すぎない距離を望む方…。お客様それぞれの望みや楽しみ方を尊重し、それを叶えて差し上げるのが、バーテンダーとしての大切な役目だと感じています。

山崎達郎から学んだことを教えてください

高齢になっても常に新しいことに取り組んでいこうとするその姿勢に大いに感化を受けています。絵画や執筆など、仕事とは違う分野にもモチベーションの衰えが見えないところを見ると、気持ちに若さを持つことのすばらしさを学ばされる気がします。
どっしりと構えて、些細なことに動じない鷹揚さも身をもって教えられてきました。以前、店の売り上げが大きく落ち込み、スタッフが先行きに不安を感じていた中、マスターが「みんな他のお店に行っているのだろうかねえ」と笑いながらいつもと変わらない接客をされておられました。オーナー、あるいはバーテンダーとしてだけでなく、人間として、大らかさ、ポジティブな考え方の大切さを教えてくださる、人生の教師だと感じています。

カクテルの魅力について語ってください

カクテルには、人生のどんなシーンにも寄り添うことのできる裾野の広さがあると思います。楽しい時、悲しい時、つらい時、恋人といる時、一人でいる時、友達といる時…それぞれの場面に合ったカクテルが必ずあるものです。
しかし、その時の気持ちにどんなカクテルがマッチするかは人それぞれ。カクテルのレシピは星の数ほどありますし、味の好みも千差万別です。もとより「自分がこういう気持ちの時はこの味がぴったりくる」という確固としたイメージを持っている人自体が少数派でしょう。
そういった味の好み、またお酒の適量や飲み方なども含めて、その人がカクテルと素敵なお付き合いをしていく上でのお手伝いをしていくことがバーテンダーの務めだと思っています。

BARやまざきの魅力はどんなところにあると思いますか?

老若男女問わず、どんなお客様でも幅広く受け入れることのできる懐の深さにあると思います。
オーセンティックスタイルのバーですので、若い方にとっては重厚感を、中高年の方には懐かしさを…といった形で、それぞれに楽しむことができるのではないでしょうか。スタッフのキャラクターもそれぞれ全く違うものですし、年齢もまちまちです。どんなタイプのお客様にも居心地の良い空間を提供できるよう、チームワークで取り組むことができていると思います。
お出しするお酒の種類も、一つのジャンルに特化するというよりスタンダードなものを広く揃えるというスタイルでご用意しています。バーの入門編として初めての方にも安心してご来店いただけますし、バーに慣れ親しんでいる方にとっても長く楽しんでいただけるお店だと思います。

「マイブーム」は何かありますか?

最近になってカメラを始めてみようと思い立ち、デジタル一眼を購入しました。基本的なところから勉強を始めたばかりですが、家に子供もおりますので、長く続けていける趣味にしていけたらと思っています。
小学校時代から始めた野球は今でもチームに加わって楽しんでいますが、ピッチャーで肩を壊してしまってからは、ゴルフもたまに行くようになりました。
高校の時はバンドを組んでドラムを叩いていたこともありました。レッドツェッペリンやパープルヘイズなどの洋楽のほか、オリジナル曲を演奏したりもしていましたが、音楽の趣味は今ではすっかりご無沙汰になってしまっていますね。

あなたの長所と短所は?

長所は、明るい性格でしょうか。あまりくよくよ悩まないところはいいところだと思います。
短所は、怒りっぽいところですね。店でも家庭でも反省させられることがよくあります。もちろんお客様に怒ったりはしませんが(笑)。他のスタッフについつい甘えてしまうところも直したいところです。

Akihiro Suzuki 鈴木 明大

出身: 北海道芦別市
略歴: 北海道芦別高等学校卒業
宮島学園北海道調理師専門学校卒業

インタビュー

バーテンダーを志したきっかけは?

高校二年生の時、あるテレビドラマで、バーテンダーがシェーカーを振っているシーンを見た時に、直感的に「これだ」と感じました。
バーを舞台にしている訳でもなんでもない、ごく普通のドラマのワンシーンだったんですが、それでも自分の中では強いインパクトがありましたね。その時に思い描いたイメージは、バーテンダーとしての勉強や修業という段階を一足飛びに越えて、自分がすっかりマスターとして店を切り盛りしている姿でした(笑)。

バーテンダーとしてお店にいて心がけていることは何ですか?

お客様に恥をかかせないこと、場の空気を読むこと、技術や知識を磨くこと…細かいところを挙げていけばきりがないんですが、「バーテンダーはこうじゃないといけない」という固定概念はあえて持たないようにしています。むしろ、いろいろな種類の考え方を持つことの大切さを常に意識するようにしていますね。ボトルの取り方やおしぼりを出す方向…日頃の何気ない作業にほんの少しの変化を付けるだけでも、新鮮な気持ちで仕事に取り組めるものです。常に成長していくこと、自分自身が変化し続けることを心がけています。

山崎達郎から学んだことを教えてください

マスターの働きぶりを見ていると、この仕事が好きだということが伝わってきます。
ずっと同じ仕事を単調にこなしていくだけだと、必ず飽きがでてくるものです。もちろん客商売であれば日々それなりの変化があるわけですが、それでも50余年に渡って同じ仕事を一筋に続けてくることは、仕事を好きにならないとできることではないと思います。自分も、この仕事を今以上に好きになっていきたいという思いを強くさせられます。
バーテンダーの仕事はシェーカーを振るだけではありません。お客様と会話すること、グラスを磨くこと、洗い物や掃除、他にも細々とした雑務もたくさんあります。自分の場合、すべての作業が好きになれるかといえば必ずしもそうではありません。目立たない仕事を進んでやろうと思えないこともよくあります。でも、そういう時こそ自分の中で視点を変えるために、やりたくない仕事にあえて取り組むことで自分の中で苦手意識を育てないようにしています。これも、固定概念を持たないという僕自身のテーマの一つの側面ですね。

カクテルの魅力について語ってください

お酒が苦手な人でも楽しめるところや、どんなシーンにも合わせられる幅広さなど、たくさんあると思いますが、個人的に魅力を感じるのは…ちょっと雑な言い方ですが、「恰好つけられる」ところです。そして恰好つけることが許されるお酒だと思います、バーにおいては特に。
カクテルの傍での格好よさというのはお客様によってきっと違うものでしょう。それぞれのお客様の最高の格好よさを演出することはバーテンダーの役目だと心得ていますので、お客様には安心して恰好つけていただきたいですね(笑)。

BARやまざきの魅力はどんなところにあると思いますか?

気付かれにくいことかもしれませんが、お客様の数に対してスタッフの数が確保できていることがあると思います。さすがにお客様と同じ数のスタッフを揃えるという訳にはいきませんが、たとえ店内が満席になったとしても、お客様に「放っておかれている」と感じさせないラインでサービスのクオリティ保つことができるのは、スタッフの数と能力が整っているからではないでしょうか。
あとはやはり、店主・山崎達郎その人が強みです。何を差し置いてもマスターの存在は偉大ですね。

「マイブーム」は何かありますか?

最近は筋トレに嵌っています。スポーツジムではなくウェイトトレーニング専門のジムに二年前から出勤前に通っています。
ウェイトトレーニングというとただ重いものを上げ下げする単調な運動と思われがちですが、筋肉の動かし方にも意外とテクニックが必要で、本格的にやり始めるとなかなか奥深いものです。いつもは何気なく使っているひとつひとつの筋肉に意識を集中するというのは、仕事の中で視点を切り替えるためのいい訓練になっていると思います。

小さい時はどんな子供でしたか?

ろくに勉強もせず、遊んでばっかりでしたね。今にして思えばもっとまじめに勉強しておけば良かったという思いもありますが、だからこそ今は人一倍学んでいかなければいけないと気を引き締めています。もっとも、勉強熱心であったなら今とは違う仕事を選んでいたかもしれないので、つくづく巡り合わせというのは面白いものだと感じます。

お酒に弱い人、飲めない人へ一言

バーで楽しく飲むことにお酒の強さは関係ないと思います。飲める人、飲めない人、どんな方にも楽しい時間を過ごしていただけるようにおもてなしするのがバーテンダーの務めです。やまざきにはノンアルコールカクテルやソフトドリンクも各種揃えていますので、気軽に飲みに来てくださればと思います。

あなたの長所と短所は?

長所は、客観的な見方ができることだと思います。どんなことでも自分が好きか嫌いかといった主観だけで判断するのではなく、別の視点から積極的な見方ができないかということを試すようにしています。
短所は飽きっぽいところでしょうか。いろいろなことに目移りしてしまうのは悪い癖ですが、生活や仕事の中で変化をつけていこうというモチベーションを生んでくれている部分でもあるので、嫌いな短所ではありません(笑)。

Hitomi Mukai 向井 仁美

出身: 北海道室蘭市
略歴: 室蘭市幌別西小学校卒業
室蘭市幌別西陵中学校卒業
室蘭東高等学校卒業
宮島学園北海道調理師専門学校卒業

インタビュー

バーテンダーを志したきっかけは?

専門学校にバースタッフのアルバイトの求人があり、何気なく応募した先がやまざきでした。当時はやまざきのこともマスターのことも知らず、バーテンダーとしてこの先やっていこうという思いも特に持っていませんでした。親が「BARやまざきでなら働いてもいい」と言ってくれていなかったら、この業界に関わることすらなかったかも知れません。
今でこそバーで働くことの意義や楽しさを見いだせていますが、同じバーでもやまざきでなければ、ここまで続けてくることはできなかったと思いますね。

バーテンダーとしてお店にいて心がけていることは何ですか?

あまり難しく考えたことはありませんが、どんなお客様にも来て良かったと思っていただけることが一番ですね。基本的なことですが、笑顔で接客することを心掛けています。
テンションを上げていくのに時間がかかるタイプで、忙しくなってくるとエンジンがかかっていい動きができるようになるんですが、開店時間前後などは仕事のモチベーションを上げきれずに他のスタッフにフォローさせてしまうこともあり、反省しています。自分の中でのこれからの課題です。

山崎達郎から学んだことを教えてください

お客様とのひとつひとつの接し方からたくさんのことを学ばせてもらっています。お客様との距離は、遠すぎず、近すぎず。「どんなに仲良くなってもお客様はお客様。友達ではないんだよ」というマスターの言葉が印象に残っています。
別のお店で今よりもっと高い給料を出すから働いて欲しいと他から誘われたとしても、マスターの下で働きながら学ばせてもらう経験には代えられないですね。

カクテルの魅力について語ってください

少し配合を変えるだけで全く違うカクテルになってしまうその新鮮さや意外性を、飲む側も作る側も楽しめるところにあると思います。
マスターには「カクテルを作るだけなら3か月みっちり訓練すれば誰でもできるようになる」と教わりましたが、ある程度の技術を身に着けることができた今、その人に合ったカクテルやアレンジを考えることの奥深さや醍醐味をますます実感できるようになりました。

BARやまざきの魅力はどんなところにあると思いますか?

たくさんのいいお客様に恵まれているところですね。マスターと歴代のスタッフ、そして店を愛してくださったお客様が今のやまざきを育ててくださり、そうして形作られてきたやまざきの品格がまた良質なお客様に愛されていくという良い循環の中で仕事をさせていただけるのは、本当に恵まれていると感じています。

「マイブーム」は何かありますか?

特にないですね、無趣味なもので…(笑)。一時期ダーツをやっていたこともありましたが、近ごろはすっかりやらなくなってしまいました。
最近大きめのテレビを買ったので、家で映画を見ながら一人で静かに飲むのが落ち着く時間にはなっています。

お酒に弱い人、飲めない人へ一言

今はノンアルコールドリンクも種類が増えてきて、やまざきでもたくさんご用意しています。アルコールが強くない方にも、お店の雰囲気だけでもぜひ楽みに来ていただきたいですね。

あなたの長所と短所は?

長所は明るいところ、元気なところ。短所はがさつで飽きっぽいところでしょうか。すぐに人のせいにしてしまおうとするのも良くないところです。
きっと他の職場であれば愛想を尽かされてしまっていると思うんですが、マスターや他のスタッフの度量の大きさに知らず知らず甘えてしまっているところがあると思います。